漫画を読む

依存の闇と「うれしさ」の自立性―『ラストノーツ』について・3

先の記事では、この物語のテーマが「自立」にあるということを最後に予告していました。 dismal-dusk.hatenablog.com 私がそう言ったのは、3巻では、「なぜ自立できないのか?」(自立していないとはどういうことか)という問いについて3つの答えが用意され…

「ここ」で生きていく男、「ここ」を去る女―『ラストノーツ』2巻について

前回に引き続き、標題の作品について気ままに書いていきます。今回は、主に2巻の内容について書いていくことになります。 ラストノーツ(2) (フラワーコミックス) 作者: 桜小路かのこ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/07/07 メディア: Kindle版 この…

祝福された居候状態―桜小路かのこ『ラストノーツ』について

少し間が空きました。前から書こうと思っていた作品についての感想文です。また連載のような形になるかもしれません。 ラストノーツ(1) (フラワーコミックス) 作者: 桜小路かのこ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/04/21 メディア: Kindle版 この商…

『タビと道づれ』総論―ヤンキー的リアリズムとタビの旅(仮)

とりあえず、無理にでも今回は話をまとめていこうと思います。どんな切り口にすればよいのかかなり迷ったのですが、最終的には、斎藤環『世界が土曜の夜の夢なら』(以下『土曜の夜』)の「ヤンキー的美学」の記述を手掛かりに進めていこうと思いました。 『…

自分の椅子と罪の日傘―『タビと道づれ』ツキコ(と航一)について

今回はツキコについてです。前回のニシムラの片想いをめぐる物語はなかなかシリアスなものではありました。しかし彼女のエピソードは、そのドラマに対して水を差すような読解を提供しているようです。 ニシムラの考えていたことは、第一に「航一と月子は円満…

永遠の片想い―『タビと道づれ』ニシムラについて

この続きです。 今回主に語るのは街の警官ニシムラについてです。この順番でいいのか分かりませんが、とりあえず進めていきましょう。

「この街には何もない」ということ―『タビと道づれ』から

いつもの通り自分語りから始めますと、私は都市らしい都市までは確実に一時間半ほどは要する中途半端な郊外の出身であり、今もそこに住んでおります。この街はなにか全国区の名物を有しており、休日のたび観光客がせっせと足を運ぶ……などということはほとん…

『メイド諸君!』を読んで―ご主人様の憂鬱とメイドの献身

先日『メイド諸君!』を読んでから、得体の知れない気持ちの悪さが亡霊のように回帰し胸の辺りに渦巻いています。思いの外、私はこの作品に打ちのめされた(?)ようでした。そのように、ああ面白かった、で済ませることのできない読書というのがたまにあり、…