【お知らせ】主に近年の少女漫画を紹介する冊子を作ります(しばらく感想記事は減ります)

 今回言いたいことは標題のとおりです。

 大したことではありませんが、私には以前から漠然とした計画がありました。自分で本を作り、何らかのイベントで配布しようというものです。そこで、どのような本にすればいいのかここ数か月悩んでいました。当初は、このブログからいくつかの記事を選び出し、ひとつながりの論になるように再構成してみようかとも思っていました。

 しかしながら、その場合懸念されることがありました。このブログ、漫画の感想記事が全くといっていいほど読まれていません。むしろノベルゲームについての記事のほうが相対的にはよく読まれているようです。このブログで取り上げているような漫画は、興味を持っている人が自分が思うよりずっと少ないのではないかと思うようになりました。

 すると、私が好きな一つの作品について詳細に語った本がもしあったとしても、現時点でまったく他の人に必要とされないだろうと考えました。全く知らないし興味もない作品について、隅々まで読んだ前提で話を進めた文章をまるごと一冊分読もうなどとは誰も思わないだろうからです。私も社会的動物なので、わざわざ人の集まるところに出向いて、自分が誰にも必要とされなかったことを確認して帰ることになるという事態はできるだけ回避したいのです。

 そこで、まずは私が今まで読んできた少女漫画*1などを30作程度、できるだけ多くの人向けに簡潔に紹介してみようと考えました。なるべく薄く、手に取りやすいサイズと価格にし、小難しい言い回しも細かすぎる議論も無しにします。それによって、この試みがイベントに参加した方たちに受け入れられるのかはわかりませんが。

 

 ところで何度か言っていますが、私はネット上の友達というのがいません。よって冊子の制作も基本一人でやることになります(ありがたいことに、大学時代の知人がイラストで協力してくれると言ってくれていますが)。なので目標は最低限になっています。

・A5オフセットもしくはオンデマンド
・発行部数:30部以下
・本文ページ数:多くて50
・内容(予定)
 30〜40作品の概要・軽く内容紹介
 少女漫画の読み方について 4000字程度の文章 2~3本
 作品索引

 過去に同人誌発行の手伝いのようなことをしていた経験上、本文を書くよりも編集作業に時間がかかることはすでにわかりきっています。スケジュール的に、5月の文学フリマまでに印刷までというのは無理です。11月の文学フリマか、その前にテキスト系のイベントがあればそこで頒布できるかと思っています。

 こんな文章を書いている暇があったらさっさと執筆を進めたほうがいいと思っています。今日で5作品についての紹介文の草稿が終わりました。あと9か月(執筆は4か月ほどで終えたい)、11月には間に合わせたいと思います。

 

*1:少女漫画レーベルの作品以外にも紹介したい作品はあるのですが、そのあたり統一感をもたせるかどうかは検討中です。

他人たちのような自分―琴葉とこ『メンヘラちゃん』(上)について

メンヘラちゃん (上)

メンヘラちゃん (上)

 

  この作品は、ある人から教えてもらった。正確には教えられたというより、その人の読書記録が公開されていたので、私自身が勝手にその中から見つけて読んだ。

 内容としては、不登校かつ不安障害持ちの女子中学生「メンヘラ」(これはキャラクターの名前である)、体調を崩しやすくほぼ登校していない女子中学生「病弱」、特に目立ったキャラ付けもない男子中学生「けんこう」の三人を登場人物とする四コマと、自由なコマ割りの挿話から成っている。

 この作品の基本姿勢は、メンタルヘルス界隈によくある日常のエピソードをブラックジョークとして軽妙に消費していくものである。またその中には当時の流行語・ネットミームが幅広く取り入れられている。こうした特徴は、南条あやによる『卒業式まで死にません』の筆致を否が応にも想起させる。ただ、その軽い*1四コマの合間に挿入される長めのエピソードは本当に生々しく、逃げ場がなく、ありあまる悲惨さが紙面に写し取られている。このような描き分けが絶妙な作品であることは間違いがない。特にその落差が激しい上巻についてはなおさらである。

 ただ、メンヘラネタをコミカルに描く割合がどれだけ多くとも、私にとってはこの作品はあくまで恐ろしい物語である。それは最初に出会って以来ずっと変わることがなかった印象である。その印象のもととなった、私を最も怖がらせた作中のエピソードについて今回は語るつもりだ。

*1:注意しておきたいことだが、この軽さに伴う笑いは決して明るいものではない。理不尽な目にあっても、信頼できる大人に「これは問題だ」と訴える気すら起こらない若者は、ただ笑うしかないからである。

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