2016-01-01から1年間の記事一覧

できるだけ建設的であろうとすること―メシア的構造と決断

思春期にありがちな実存主義的な気分を克服しないまま大学でポストモダンに触れると両者が融合して「客観的事実というものはないんだ!俺はどうしたらいいんだ!」という実存主義的ポストモダニストになる。 — ひのえ (@hinoe_t) 2013年7月20日 最近こういう…

『メイド諸君!』を読んで―ご主人様の憂鬱とメイドの献身

先日『メイド諸君!』を読んでから、得体の知れない気持ちの悪さが亡霊のように回帰し胸の辺りに渦巻いています。思いの外、私はこの作品に打ちのめされた(?)ようでした。そのように、ああ面白かった、で済ませることのできない読書というのがたまにあり、…

古代ギリシア美術の鑑賞チートシート

古代ギリシア展いつからだっけなあと思っていたらもう明日ですね。期間中に2回くらい行けたらいいなと思っています。 以下は、何が何だかわかりにくい陶器画などの鑑賞のお供にしてください。 動作・事物 手でベールをつまむうつむき加減になる 女性の慎み深…

親鸞の生涯と思想

ある講義のノート再利用。 親鸞の生涯 親鸞は、承安3(1173)年に京都日野の里に生まれた。9歳のとき青蓮院の慈円のもとに得度するが、これは当時源氏と組んでいた以仁王と親鸞の家系が関係していたため、平氏の追求を逃れるという目的があったと推測される…

高校時代の自虐論まとめ 補足

前回の記事について、いつも読んでくれている方から何点か指摘をもらったので補足します。 dismal-dusk.hatenablog.com ・自虐と自己批判とはどう違うのか。 自己批判は多くの場合、自分の間違いを修正しよりよい方向に変わろう、少なくとも間違いを避けよう…

高校時代の自虐論まとめ―自虐と他者

高校時代にツイートしていた理屈を分類しつつ供養しようと思う。一度まとめようと思って放置していたが再開した。 どうやら前提となる考え方が大きく分けて2つあり、そこから自虐という振る舞いがある種の自己救済の試み(?)として掲げられるようだった。…

「自傷的自己愛」の表出としての自虐

最初の記事で載せたものをほぼそのまま再掲する。 「自傷的自己愛」という概念がある。ひきこもりや自傷行為の経験者はしばしば「自分が嫌い」「死にたい」といった言葉を口にする。「自分がダメなことは自分自身が誰よりもよく知っている」、この「知ってい…

「自分に厳しく、他人に優しく」から始まる思考実験

「自分に厳しく、他人に優しく」。どこかしらで耳にするひとつの道徳的な教えかと思います。私たち若者の中にはスレた輩も多く、そんなことを大っぴらに口にするのはどこか憚られる雰囲気もありますけれども、周りによく話を聞いてみればそれを格率としてい…

イキイキとした活動と躊躇いと俯きがちな人

記事の内容や敬体の末尾表現にすらロクに統一性がないこのブログ、初めてブログっぽく日々思ったことを適当に書きます。 最初に思いついたのは、何に関してでも、躊躇いが無くなった瞬間というのが一番狂ってて物騒なのだろうということです。感情任せにそう…

名状しがたい人間関係を描く作品リスト(漫画・小説)

最終更新:2016/7/16 今回は、名状しがたい人間関係に触れている作品を挙げていきます。 そうしたものに何か共通性を見出して一括りにするのは困難なのですが、おおまかに次のような事柄を想起していただければと思います。 二者のごく緊密な関係による公的…

ジョン・ロック『人間知性論』要約・訳と内容①

今年度、次の文献を少しだけ扱ったので訳と内容を振り返りがてら書いていく。 Abstract of the Essay, pp. 365-398が要約となっている。 なお、参考の訳としてはフランス語からの重訳 ジョン・ロック『人間の知性に関するエッセイ・仏訳摘要』抜粋(福鎌忠恕…

重い人間関係を求める人へのブックガイド

大学に入りいろいろ漁ってきたものをここらでまとめます。 新書文庫ばかりなので誰でも読めます。

女生徒の感覚

最近はこの先何をテーマに研究しようか考えているが、その候補が一つあるので書き留めておく。 中学以来、今よりもっと実存的な気分になり、日々が苦痛だと感じていた時期に必ず抱いてきた感覚がある。それを実に精確に言い当てていたのが、太宰治の『女生徒…