「消えたい」の解釈を拒絶する:プロジェクトセカイ「25時、ナイトコードで。」について

警告 免責事項 序、「消えたい」を焦点にしたあらすじ 親密な相手には「消えたい」と言えない ニーゴのメンバーにはどうして「消えたい」と言えたのか ニーゴの特性:目的本位のドライな関わり ニーゴの特性:「生きたい」を前提としていない人々 「消えたい…

ほぼ無料の物語体験を可能にする仕組み――「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」について

ご無沙汰しています。個人誌の制作が一段落し、次のブログ更新は何になるかなと思っていたのですが、わりと突然に語りたいコンテンツがやってきました。標題のとおり、今回取り上げるのはセガによるiOS・Android用ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステー…

文学フリマ京都8(1/14)に行きました

出店の状況・会場の様子 出店の所感 私の問題と出店名 買ったもの(抜粋) 東京以外の文学フリマへの参加は初めてでした。前々からやってみたいと思っていたものの、東京に出てしまうとなかなか新しい冊子を作るタイミングが合わず、躊躇していました。しか…

文学フリマ京都8(1月14日)で『フィトフィリア;α』を頒布します

bunfree.net 日程 : 2024年1月14日(日) 11:00〜16:00 場所 : 京都市勧業館みやこめっせ 1F 第二展示場 入場無料 「し-41」のスペースに「hesperas」として参加します。 会場図 以下、持っていく本の紹介です。 『フィトフィリア;α』(新刊)について 私と…

「フィトフィリア」とは何でないか――序にかえて (『フィトフィリア;α』収録)

以下は、文学フリマ京都8で頒布予定の『フィトフィリア;α』の序文です。 頒布については以下の記事を御覧ください。 dismal-dusk.hatenablog.com 「フィトフィリア」とは何でないか――序にかえて 「フィトフィリア」(phytophilia)*1。これは造語というほど…

2023年に読んでいたマンガ作品備忘録

昨年はこちら。 dismal-dusk.hatenablog.com 読んだ媒体ごとに分け、読んだのが昔である順に挙げていきます。特に感想がないもの、様々な理由から評価できないと思ったものは含まれていません。 なお明らかなR18レーベルの作品はリンク貼ってないので、18歳…

文学フリマ東京37(11/11)に行ってきました

投稿 会場の様子・買ったもの(抜粋) 今回の文学フリマ東京に出店はしませんでした。人生に迷って右往左往していたら上半期が終わり、特に何も書けずにいたからです。 投稿 ただ、文章を一つだけ同人誌に載せてもらいました。 「ゼロ年代研究会」という、京…

流行曲に性愛疲労の物語を見出してしまう話(DAZBEE『アディオス』/YOASOBI『アイドル』)

この記事で、『ダーリン』という曲はアロマンティックの視点から共感できる、としていた人がいたことを書いた。 dismal-dusk.hatenablog.com こういう解釈は他の楽曲でもコンテンツでも可能だろうと思っている。ただ、私は「そういう風に受け取ることもでき…

ヤンデレ・メンヘラ的形象に関連するMV・音楽20選

本当はBlogger.comを利用している第2ブログのほうで公開しようと思ったのですが、JASRACの保護下にある楽曲の歌詞を掲載するには通常申請が必要であり、包括契約を結んでいる「はてなブログ」のほうが適していると考えたため、こちらで公開します。 留意事項…

岡本裕一朗『ヘーゲルと現代思想の臨界:ポストモダンのフクロウたち』読書メモ

ヘーゲルと現代思想の臨界―ポストモダンのフクロウたち 作者:岡本 裕一朗 ナカニシヤ出版 Amazon 読んでみたら重要なことが多かったので書き留めました。 未だに誤解されることがあるヘーゲル像の修正に役立つかもしれないと思い、公開します。ちなみに、近…

無責任で一方的で、失踪も引きこもりもせず牛乳を買いに行く「推し」文化の話

たいへん有用な論文があったので紹介します。次に収録されている、村松灯「『推しのいる生』の何が新しいのか」です(以下、「論文」はこれを指します)。 ポップカルチャーの教育思想―アカデミック・ファンが読み解く現代社会― 作者:渡辺 哲男 晃洋書房 Amaz…

天竜川ナコン「インターネット・ピエロ」の詞を深読みしたら最終的に人生が捗ってワロタ

どうも、田原夕です。 突然ですが、今日は天竜川ナコンという方の作った曲を解説していきたいと思います。 まずはご視聴ください。 youtu.be 聴きましたか? どんな気持ちになりましたか? 私は、かつてインターネットで自虐的な投稿ばかりしていた頃の鬱屈…

高崎のZINEイベント「ZINPHONY」に出品します+オフ会しませんか

ZINPHONY参加告知 2023年6月24(土)・25(日)の2日間、群馬県高崎市にてZINEイベント「ZINPHONY」が開催されます。 zinphony.com このたび、田原夕は既刊の『生き延びるための自虐』を出品します。詳細は以下から。 dismal-dusk.hatenablog.com イベント会…

極限状態と「ほんとうの自分」――『Myself;Yourself』星野あさみについて (2)

随分と時間が空いてしまいました。『Myself;Yourself』(以下MY)というアニメ11話についての文章の続きです。 dismal-dusk.hatenablog.com 前回は、あさみが朱里とその家族に悪行を働いてしまった事件の背景にあった事情について見てきました。同時に、なか…

読めていない同人誌・ZINE全78冊の紹介動画を撮りました

GWはどこにも行けず、次回の文学フリマ東京も無理すれば行けるが無理する気にもなれず、知人と予定が合うこともなく、鬱々としていたので深夜に独り言を喋り続けて動画を撮りました。 読めていない同人誌・ZINE全78冊紹介します(1/3) www.youtube.com 発行…

関係の信仰――染よだか『溺れる繭』の感想

当ブログではこれまで、文学フリマ等で頒布されている自主流通の冊子の感想を書いてきましたが、一人の文章のみで構成された冊子をとりあげることは稀でした。 一人で制作した何かへの言及は、その制作者への言及と紙一重になります。賞賛も批判もその人だけ…

フェアプレーより蝶を選ぶ――『ロックマンエグゼ』(漫画版)のセレナードはなぜ魅力的なのか

今回は、小学館の漫画・ホビー情報雑誌『コロコロコミック』上で20年ほど前に連載された、とある漫画のキャラクターについての話をします。ファンの叫び的な性質が強い文章であるため、こちらのブログに掲載することにします。 鷹岬諒『ロックマンエグゼ』は…

なかったことにされた告白――『Myself;Yourself』星野あさみについて (1)

当記事は、同名の全年齢向けノベルゲームを原作として、2005年から06年にかけて放映された『Myself;Yourself』(以下、MY)というアニメについて語るものです。 なお、このアニメはキャラクター名とビジュアルこそ原作ゲームと共通であるものの、ストーリー…

文学フリマで買った本の感想(文芸誌編)

今回は、第33回・第34回文学フリマ東京(2021年11月・2022年5月)で頒布されていた文芸誌のいくつかを読んだので紹介します。前回はこちら。 dismal-dusk.hatenablog.com もう半年以上前のため入手できるかわからないものもありますが、私はべつに販促をお願…

2022年に読んでいたマンガ作品備忘録

これの2022年編です。 dismal-dusk.hatenablog.com 読んだ媒体ごとに分け、読んだのが昔である順に挙げていきます。 紙 BANANA FISH(1) BANANA FISH (フラワーコミックス) 作者:吉田秋生 小学館 Amazon hesperas-drafts.blogspot.com サタニッ…

2021年に読んでいたマンガ作品備忘録

2020年に書いたこちらの記事を踏襲しています。 dismal-dusk.hatenablog.com 最近は、紙の連載→紙の単行本+その電子版 というより、Webサイトで一話ずつ連載し課金を求める形式がだいぶ増えましたね。またWebサイトと同時に、出版社やプラットフォーム企業…

文学フリマ東京35(11月20日)で『生き延びるための自虐』を頒布します

bunfree.net 日程 : 2022年11月20日(日)12:00〜17:00 場所 : 東京流通センター 第一展示場、第二展示場 入場無料 「X-04」のスペースに「hesperas」として参加します。 入り口から向かって左端になるようです。 会場図(第一展示場) 新刊は『生き延びる…

不機嫌と性欲(『「ハネムーンサラダ」の隠し味』第5章)

当記事を読む前に 当記事は予告なく削除されます。いかなるソーシャルブックマークもSNSによる一言コメントも無駄に終わりますので行わないでください。仕組み上可能ならば他人の言葉をどう扱ってもいいと考える方が最近は多そうなので、あえて言っておきま…

(アーカイブ公開中) 個人誌『生き延びるための自虐』を紹介する放送をします

こちらで告知するのを忘れていました。 11/5(土)21時頃から、文学フリマ東京 35で出品予定の個人誌『生き延びるための自虐』を紹介する放送をします。媒体はツイキャスの予定です。 (追記) アーカイブを公開しました。 どんな人間が書いたのか、なぜ、誰…

『生き延びるための自虐』試し読み(16章)

この記事は、個人誌の『生き延びるための自虐』試し読みです。 予告なく削除されることがあります。 dismal-dusk.hatenablog.com 第16章 文芸部、その個人的な由来 本書は「どのように」自虐をするべきかについて考察してきました。しかし、自虐を行う場所に…

『生き延びるための自虐』試し読み(13, 14章)

この記事は、個人誌の『生き延びるための自虐』試し読みです。 予告なく削除されることがあります。 dismal-dusk.hatenablog.com 第13章 嫉妬と「ひとり裁判」のあいだで—渡邊博史 自虐的な言葉の書き手の紹介も最後になりました。今回紹介するのは、2012年…

『生き延びるための自虐』試し読み(10章)

この記事は、個人誌の『生き延びるための自虐』試し読みです。 予告なく削除されることがあります。 dismal-dusk.hatenablog.com 第10章 ひとりツッコミ、ネットミーム、夢は殺人―加藤智大 始めに話題とするのは、2008年に「秋葉原無差別殺傷事件」(1)を起こ…

『生き延びるための自虐』試し読み(6章, 9章)

この記事は、個人誌の『生き延びるための自虐』試し読みです。 予告なく削除されることがあります。 dismal-dusk.hatenablog.com 第6章 自虐の攻撃性について 大概の自虐について、それを目にした人が良い気分になることはありません。自虐者は自分以外の誰…

『生き延びるための自虐』試し読み(1~4章)

この記事は、個人誌の『生き延びるための自虐』試し読みです。 予告なく削除されることがあります。 dismal-dusk.hatenablog.com 第1章 自虐の3要件 自虐とは、なんでしょうか。字面のとおり考えてみると、「自分を虐めること」あるいは「自分で自分を虐める…

『生き延びるための自虐』発行について(序文、目次掲載)【試読追加】

制作の経緯 頒布方法、広報など 序、あるいはお断り 目次 制作の経緯 『「ハネムーン サラダ」の隠し味』という個人誌を作ってから、自虐について考えていました。 このブログでも、「自虐について」というカテゴリの中でいくつか文章を書いたことがありまし…